2ntブログ
2011-07-08

頭の良いキチガイ

頭の良い気違いといったら、私は先生をおいて他にあったことがない。

昔、商店街のオジサンが言ってた。
「頭の良い気違い(キチガイ)ほど、理解しがたい者はない!」とね(笑)

私はそんな人に出逢ってみたかった。
ううん、実際は一度だけ逢ったことがある。

私が幼い頃、商店街中央にある信用金庫の脇に、一年のうちに何度か顔を出す浮浪者がいた。
後になって思えば、彼の風貌は絵画に描かれているキリストにそっくりだった。

登山用ナップザックに似た大きなズタ袋を重そうに持ち歩いていて、中身は外国の本、その他、あまり商店街の古本屋では目にしたことのない本だった。
彼は何することもなく、ただ地べたに座り込み黙々と本を読んでいた。

好奇心旺盛の私としては、彼が気になって気になって仕方ない。
そうなると・・・絶対に声をかけてしまうのが私の良いところでもあり、もっとも悪いところかもしれない(^^ゞ
先生にも度々ご迷惑をおかけしていると、後になって反省しています。

でも商店街で生きるというのは、誰もがよその子供に対しても親に近い感覚を持っていて「悪い子はいねぇかぁ~」と年中無休でなまはげに追いかけられてるような窮屈な世界でもあった。

今でこそ笑えるけれど(やっぱり笑えないなぁ~)悪いことをしたら、商店街の電柱に括られ晒し者にされた経験を持つ私は、どの子以上に監視の眼が厳しかったような気がする。

この見せ付けの刑が災いしてか?
今ではすっかりエロ遊びでも見せ付けプレイに走る傾向があるのかなぁ(笑)

彼と話すきっかけとして選んだのは、食べ物をあげてみることだった。
えへへ!子供の頃って単純だからね…でも彼は物をもらわない乞食だった。

いえいえ、ホントは乞食だった訳ではないのかもしれない。
ただ住み家を持たないだけで、彼が物を恵んでもらった話を聞いたことがなかった。

食べ物作戦が失敗に終ると、今度は率直に「何をしているの?」と聞いてみた。
「本を読んでる」と彼は言ったけど、そんなの観ればわかるよね(^_^;)

「英語が読めるの?」と聞いたら返事はなかったので、私も真似して彼の隣に座って本を読んでみることにした。
もちろん漫画だけどね。

ちなみにこの時の本は、懐かしい「ハレンチ学園」だった。
いえいえエロガキじゃないよ、永井豪の作品が好きだった。

デビルマン、マジンガーZ、キューティーハ二ーにしても、あの自由な発想が好きなんだけどね。
デビルマンは、ミキへの独善的愛が好きで、今でも明君に恋している私です(*^^)v

その時彼が「もっと良い本を読みなさい」と言ったので、「どんな本が良いか?」と聞いたら、自分で考えることが大切だと教えられた。
 ↑ここ先生にそっくり↑(笑)

だけど商店街のおじさんは「頭を使わう暇があったら、一つでもいいから自分に自信が持てる物を持て」と言う。
頭を使って自信を持てとなぜ?言わないのだろう?と思うと、こうなると誰がまともなのか?さっぱりわからなくなったし、今度は自信ってなんだろうと思った。

それから頭の良い乞食が商店街に来なくなった。
ずっと気になっていたけれど誰に聞いても教えてくれないし、誰も消息を知らなかったのだと思う。

それから暫く経ってから、テキヤのたこ焼き屋のおばさんから彼のことを聞いた。
色んな町を転々と歩いていると、彼に行き会うことが多々あったのだろうね。

彼はお金持ちの家に生まれたらしく、両親からお金を貰って暮らしていたらしいけど、本が書いたくて生活費を節約しているうちに乞食になってしまったらしい。
自由に本が読みたくて社会から離脱してしまったと聞いた時には、確かに気が違っていると思った(笑)

だけどね、この時の乞食と先生ってどこか似ているんだよね(^^ゞ

えへへ!もちろん先生は誰が観ても育ちの良さそうな紳士に見えるけれど、でも自分のやりたいことに向かっていると周りとの隔たりを忘れちゃう。

まあ忘れちゃってる訳ではないだろうけれど、先生からすればどうでも良いことになってしまうみたい。

ずっと前、先生が聖路加病院に健康診断に行った時のこと、検査待ちの間、何度となくメールのやりとりをしていたのに、ぷつっと音信が途絶えてしまったことがあった。

検査が終って帰るのなら、メールで伝えてくれるだろうと思って待っていたけれど、待てど暮らせどいっこうに返信はないし…。

病院に検査に行って音信が途絶えてしまったとなると、何か悪い病気でも見つかったのか?と心配になるよね。
それでももしかしたら?メールサーバーの遅延で、もう家に着いている頃かもしれないと思うと、こちらからは送信できなかった。

でね、夜のメールに大層大袈裟に「先生、今どうしてる?大丈夫だよね…何もないよね」と書いて送った。
先生からの返信には、さすがの私も驚いたよ。

「聖路加病院の時刻を告げる鐘の音があまりに美しすぎて、ただただ感動を抱いたまま家路に着いてしまい、すっかりメールするのを忘れた」とあっさり書いてあった。

おいおい・・・(^_^;)
私のことなど頭中になかった…とそう大胆に暴露しなくてもいいんじゃない!!!

と思ったけど…
でもね、なんだかそんな先生が可愛くて可笑しくて、すっかり怒るのを忘れて大笑いしちゃった。
もちろん次の日は、軽く捻くれてみたけどね(笑)

こんな程度のこと思い出したらキリがないほど沢山あるけれど、先生と出会えたことで、あの頃疑問に思った「自信」がどういうものなのかわかった。

自信ってね、自慢とは違うんだよね。
自分のことを信じられるようになって、初めて自信となるのだろうと思うようになった。
でも自分を信じることは、人からの評価を高めるより難関かもしれないね。

昔、大喧嘩した時に信じることを知らない私は、先生に怒鳴られたことがある。
「なぜ?お前は俺を信じないのか?」ってね。

「信じることができないのは、騙されることを恐れるからだ!」と怒鳴って言い返した(汗)

でもね、大喧嘩しながら激しいSEXをする中でわかったよ。
もし?騙されているとしても、私は先生が大好きだなぁ~ってね。

そしてね、この人に騙されるならそれも嬉しいじゃない!と思ったし、先生に恋する気持ちを確信することができたことが何より嬉しいことに思えた。
愛する人を慕う純粋な感情に出会えた瞬間、私を縛る弱さから開放された思いがした。

人と付き合うのが難しい世の中になったと言われているけれど、本当のところ人の性質にさほどの変化はないのだろうと思う。
ただ無邪気に自分を信じられる馬鹿が少なくなっただけなのかもしれないね。
美月

PS…最近の驚きは、「俺の人生は俺だけのもの」と言われた時には、恋する熟女はちょこっとショックだった。
でもねよくよく考えてみたら、その通りだと思ったよ。
恋はお互いに依存しあうことではなく、共感しあうことに喜びがあると思うからね(*^^)v

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美月

Author:美月
今年の夏で49歳になります。
月日の経つのは早いもので、不倫愛歴七年目を迎えました。この出会いに感謝して、灰になるまで恋を…と願っています。

幼い頃から月に心惹かれ、今では月が心を映す鏡となっています。こんな月マニアの私の為に、愛する人が「美月」と名づけてくれました。いつまでも大切に使っていきたいと思います。

ようこそ…
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